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Yahoo!Japanニュース(産経新聞)に取り上げられました!【2021.7.5】自然エネルギー利用(上) 地下水で冷暖房、宇都宮駅東口開発

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【Dr・金のとちぎカルテ】自然エネルギー利用(上) 地下水で冷暖房、宇都宮駅東口開発

 

栃木県のJR宇都宮駅東口「宮みらい」で進行中の開発プロジェクトで、施設で利用する熱エネルギーの脱炭素化に向けた取り組みとして注目されているのが地中熱・地下水熱の自然エネルギーの導入だ。

栃木県は本来、自然エネルギー自給の条件が良い地域である。山での水力発電に加えて、太陽光発電についても日照に恵まれ、栃木県の年間日照時間は他の都道府県に比べて長い方だ。ゴルフ場や休耕地に大規模な発電施設があるのを目にする。

宇都宮の市街地の真ん中でも、太陽光以外の自然エネルギーがある。年間を通じて一定の温度(約15度)を保っている地中熱・地下水熱だ。地表から地下数十メートルから100メートルまで掘って、上下に通したパイプ(採熱管)に、液体を循環させると、地表の温度にかかわりなく、15度に近い温度で上がってくる。外気の温度と、循環液との温度差があれば、ヒートポンプの熱交換器を通して、さらに冷やすことも暖めることもできて、冷暖房に利用できる。利用後は排熱として地中へと戻す。宮みらいで建築中の高度専門病院「シンフォニー病院」では、この冷暖房システムを構築している。こうした地下との熱交換による冷暖房は、すでに欧州などでは広く使われている。

この仕組みでは、①熱交換器の稼働時の騒音が非常に小さい②環境汚染が少ない③冷暖房で熱を屋外に放出しないため、ヒートアイランド現象の原因になりにくい-などのメリットがある。

とくに、宇都宮のように地下の伏流水が豊富である地域では、流れている地下水による冷却、加温の効果も加わって、さらに効率が良くなる。市内で、建築の基礎工事や、地下工事の際に、地下水が豊富に湧いて出て処理に困ったという話を聞いたことはないだろうか。筆者らの宇都宮脳脊髄センター(同市一番町)では、7年前に地下熱交換の冷暖房を設備して利用してきた。その効用は実感されるところである。

宇都宮市の中心部では西から東に向かって、すなわち松が峰の方から田川の方に向かって地下に水の流れがあるらしく、予測した以上に熱交換の効率、冷暖房の効果が高い。シンフォニー病院でも、事前の調査として、地層だけでなく地下の伏流水を調査し、また熱の放散の定量測定も行った。田川とさらに東側の鬼怒川の川床の高さの違いを反映して、西から東への伏流水の流れが豊富にあるとの調査結果であった。計算では夏の冷房のエネルギーの7割程度、冬の暖房の6割程度を賄うことができる予測であり、すぐれた省電力効果が期待される。(金彪)

きん・ひょう 脳神経外科医。東大医卒、米ミネソタ州のメイヨークリニックにて6年間研修。平成11年独協医大主任教授、令和3年宇都宮脳脊髄センター専任勤務。趣味は音楽。宇都宮音楽芸術財団理事長として、室内楽の定期演奏会を毎月開催している。65歳。

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