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EMIRAに取り上げられました!【2021.2.26】イチゴ栽培や熟成貯蔵にも! 大谷石地下採掘場跡の地下水活用から見る冷熱エネルギーの可能性

イチゴ栽培や熟成貯蔵にも! 大谷石地下採掘場跡の地下水活用から見る冷熱エネルギーの可能性

※『EMIRA(エミラ)』は、株式会社KADOKAWA、東京電力ホールディングス株式会社、株式会社読売広告社の3社で構成する「EMIRA編集委員会」によって製作・配信をされているインターネット記事です。

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宇都宮市発「大谷夏いちご」開発で観光業も復活の兆し

イチゴの生育にとって重要なのは株元の温度で、形の整った大きな実を成らせるためには、20~25℃に保つ必要がある。株元を人工的に冷やして果実の生育を促す手法が、クラウン冷却だ。

宇都宮市では株元の周辺にチューブを通し、冷水を循環させることで周辺温度を冷やす方法を取っている。ヒートポンプ方式と呼ばれ、宮城県にあった先行事例を応用しているという。こうした大谷地区の運用方法について、設備の設計・製造を担うクラフトワークの益子暁弐氏は、次のように説明する。

「ビニールハウス内にチューブを張り巡らせ、採石場から地上にくみ上げた地下水を、その中で循環させています。ポンプで地下からくみ上げた地下水をそのままチューブに通している箇所もありますが、地下水をそのまま流してしまうと不純物を含んでいることがあり、それらがチューブを詰まらせる原因になってしまう。そこで、いったん別の媒体に水の温度を移し、それをチューブに流すという仕組みにしています」

 

2017年に実証を始めて以降、2021年2月現在までに4つの事業者がなつおとめの栽培に乗り出している。最初に着手した3社は自前でポンプを用意するなど、自費で設備を整えなければならなかったが、大谷地区では現在、設備導入はOUE社が負担し、設備の電力使用料を支払うだけで冷熱エネルギーが利用可能となっている。

クラフトワークは宇都宮大学と大谷地域エネルギーについて共同研究を進めている。そこで得たデータ検証の結果、冷熱を活用したヒートポンプ方式を採用することによって、従来の重油ボイラー方式でかかっていたランニングコストと比較した場合、年間約48万円のコスト削減になると試算されている。加えて、二酸化炭素の排出量も、延床面積400m2に対し年間で22tの削減につながる見込みだ。

冷熱エネルギーが宇都宮市にもたらした効果はそれだけでない。大谷夏いちごを使ったメニューを提供する飲食店が増加し、ジャムやフリーズドライにした商品を販売する店も出てきている。県外へも出荷され、沖縄県うるま市のリゾートホテルなどではスイーツ用の食材として活用されているという。

以前より注力してきた大谷石採石場跡の観光地化に加え、大谷夏いちごの栽培、ブランド化を進めた結果、一時は最盛期の年間120万人から16万人にまで落ち込んだ大谷地区の観光客は、2019年に約80万人まで回復。冷熱エネルギーが、活気という熱を取り戻すきっかけの一つになっているのだ。

貯蔵庫にも冷熱エネルギーを活用

ただ、地下水の冷熱エネルギーには、デメリットもゼロではない。地下水を循環させることによって、地下環境への影響がないとは限らないからだ。その点について、宇都宮市は細心の注意を払っている。

「地下水を循環し続けると、水の温度は上がります。それを地下に戻すことで地下水の温度が上がってしまうなど、環境へ悪影響を及ぼすことも考えられました。そこで、水や地盤工学の専門家に研究会に入っていただき、継続的にモニタリングを実施しています。使用した水を地下に戻せば、その水は基本的には再び冷えるのですが、その循環量がどれくらいまでなら問題ないかを模索しているところです。地域振興と環境影響を考慮した安全対策は、両輪でやらないといけないということを念頭に置いています」(北條氏)

一方で、農業事業者からはイチゴだけでなく、メロンやコーヒーの栽培にも冷熱エネルギーを利用したいという声も上がっている。そうした多様なニーズに応えるためシステム改良も進めているという。

「現在、株元の周辺だけでなく、ビニールハウス内全体を冷やすシステムの開発に取り組んでいます。イチゴも、その方が形の良い甘い実をつけることが分かっているからです。この技術が確立できれば、他の農作物への応用も可能となります。今年の夏もデータを取り、さらなる進化を目指します」(益子氏)

 

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